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● 社会思想史 6月23日の講義 2005-07-30
刑務所見学に出かけて受講できなかった人のために、当日の講義を再現します。

本日の目標: 「理由なき服従」には合理的な根拠があるということを理解する

そのために効用の数値を工夫して以下のように想定する(テキスト77ページ)
メンバーから外される損失(マイナスの効用)はとても大きい
{非従,非外}>{従,非外}>{非従,外}>{従,外}
    2      >    1    >    -8   >   -9

選手がすでにわかっていること(テキスト46--48, 56--58ページを参照)
評価が高い場合、監督は
    選手が従えば外さない        {従,非外}
    選手が従わなくても外さない  {非従,非外}
評価が低い場合、監督は
    選手が従えば外さない        {従,非外}
    選手が従わなければ外す      {非従,外}

選手の主観的確率
監督は自分を高く評価しているだろう・・・p
監督は自分を低く評価しているだろう・・・1-p

従わなかった場合の選手の効用は
監督の評価が高い場合・・・{非従,非外} =  2
監督の評価が低い場合・・・{非従,外}   = -8

従わなかった場合の選手の期待効用 U(A) は
期待効用 U(A) = 2 × p + (-8) × (1-p) = 10p − 8

従った場合の選手の効用
監督の評価が高い場合・・・{従,非外} = 1
監督の評価が低い場合・・・{従,非外} = 1

従った場合の選手の期待効用 U(B) は
期待効用 U(B) = 1 × p + 1 × (1-p) = 1

選手にとって合理的な選択=期待効用の高いほうを選択する
U(A) > U(B) の場合は U(A) のほう、すなわち「従わない」を選択する
    10p − 8 > 1
    p > 9/10
U(A) < U(B) の場合は U(B) のほう、すなわち「従う」を選択する
    10p − 8 < 1
    p < 9/10
U(A) = U(B) の場合は一義的には決まらない
    10p − 8 = 1
    p = 9/10

グラフで表してみる
U(A) = 10p − 8
U(B) = 1
    ただし p のとりうる値の範囲は 0 ≦ p ≦ 1




(テキスト80ページ3--5行目)
メンバーに選出されることが選手にとってきわめて重要な意味をもっていれば、
(=外されたときの損失が大きければ・・・マイナス8とか9)
不利益を被る可能性がどれほど低くても、
(=たとえば監督が自分を高く評価しているだろうという主観的確率が80%であっても)
選手は自発的に監督の指示に従います。
(グラフで p=8/10 のときの選手の合理的選択は「従わない」ではなく「従う」となっています。)

【理解度確認テスト(2)】
78ページ1〜4行目に書かれていることを、従った場合の期待効用、従わなかった場合の
期待効用をそれぞれ式であらわし、グラフを描いて確認しなさい。解答は上記。

概ね理解している受講生は10人未満
説明を聞けば「なるほど」と合点がいった受講生は半分程度?

残念ながらどうしてもよくわからなかった人へ
「理由なき服従にも実は合理的根拠が存在している」ということをきちんと筋道立てて説明することは(私には理解できなかったけれど)可能なのだ、とわかれば今後の受講に支障はありません。
ロケットが宇宙を飛ぶメカニズムを理解することはできなかったけれど、ロケットが飛ぶには(宇宙工学的に)合理的な仕組みが存在しているのだとわかっていれば十分なのと同様です。

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