規制改革・民間開放推進会議の「規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申」(2006-07-31)が出た。
「重点検討分野」の一つである「教育分野」の「概要」は次のとおり。
豊かで活力ある社会の構築に向けた人材育成の観点から、これまでの「与える教育」から「選ばれる教育」への転換を図り、将来を担う児童生徒が真に等しく、その能力・適性に応じた教育サービスを享受できる環境を早期に整備することが求められる。このような視点を踏まえ、具体的には、(1) 学校選択の普及促進、教員評価・学校評価制度の確立等、(2) 教育バウチャー(児童生徒数に応じた予算配分方式)の導入、(3) 教育委員会制度の見直し等について検討、措置することが必要であるとした。
内容についてはいずれまた。
同会議がおそらく最も頼みととしているのは、先だって(2005-09)実施され一ヶ月後に早くも報告書にまとめられた「学校制度に関する保護者アンケート」である。
調査は外注。外注先は野村総合研究所が手がけているインターネットリサーチサービス「TRUENAVI」。
NRIのTrueNaviの登録モニター(総計で約35万人)の中の小学生〜高校生の子どもを持つ男女27,306人の中から3,620人を無作為抽出した上で、調査協力を依頼し、そのうち1,270人から回答があった。
この調査結果が随所で言及され改革提案を補強するために活用されている。
だが、スマートな同会議(同会議が各省庁に物言うときの詰問姿勢「データが不明、根拠が曖昧、事実の取捨選択が不公正、きちんと示せ」は時として鋭い)にしては、これはあまりにも不似合いなアバウトさである。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が「インターネット調査は社会調査に利用できるか」(2005)という報告書を公開しているが、そのなかで、面接調査とモニター調査とでは「調査結果の大半が有意に異なっ」ているということが示されている。したがって「インターネット調査は、現段階では従来型調査の代用として何の留保もなくそのまま用いることは不適切」(同報告書)となる。
ほぼ常識であろう。
調査の性格と留保の程度如何にかんしては、大岩いわお氏の次の指摘が簡にして要を得ている。
調査内容とインターネットを利用する・しないとで相互に関連がない場合、回答手段としてwebを使うことによる回答結果のバイアスは生じないと考えられる。ただし、現時点(2001年初頭)では、まだインターネットの普及は、従来の郵便や電話ほどには進んでいない。特に、農村部や高齢者層、低所得者層で普及は遅れていると考えられる。したがって、現状でインターネットを用いた社会調査を行った場合、こうした普及の遅れた層の意見などが、調査結果に反映されない恐れがある。逆に言えば、こうした社会的な格差とは関係ない、心理的・生理的な感性データを得るのにwebを回答手段とするのは、特に問題ないと言える。
メディア・リテラシー。デジタル・デバイド。
中間答申のこの部分に関しては出来レースの誹りを免れないであろう。理念と論理で勝負しても十分たたかえると思うのだが。買い被りすぎだろうか。
推測するに、中間答申は皆に賛成して欲しかったので、賛成せざるをえないようなデータを持ち出す必要があったのかもしれない。あるいは、同会議の主敵は省庁なのかもしれない。
国民を代弁するかのように書かれているが、国民を名宛人にしているようには見えない。また、選択をせまっているようにも見えない。プラス価値とマイナス価値との間で選択をいうのはナンセンスだから。
【関連サイト】
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内閣府 規制改革・民間開放推会議
・
TRUENAVI (野村総合研究所)
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独立行政法人 労働政策研究・研修機構
・
アンケート調査へのWeb利用について(大岩いわお氏のサイト内)