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近況報告に代えて
次から次へとやってくる他人のケツを拭うのに時間と精力を絞り取られ、なかなかこちらに手が回らないので、お茶濁しに近況報告に代えて、さる公募に向けて拵えたボツ書類を晒します。とにかく使えそうな人、素朴な感じのするいい人、ひょっとしたらできるかもしれない人、がねらいどころです。個々の記述にウソはないけれど、ホントウだけを積み重ねても、それだけでは全体がホントウになるとは限らない (ホントウだけでウソが書ける) という例。

○ これまでの教育の概要
 現在の勤務大学に奉職して以来18年間、教職課程の専任教員として教職教育を担当してきました。現在の担当科目(教職科目に限る)は、教師論、教育方法論、進路指導論、教育史、教育実習(事前および事後指導を含む)、教職総合演習です。このほか過去に担当した経験を有する科目として、教育原理、教育法規、教育行政、教育社会学があります。
 担当科目の種類が多く、しかも受講学生の顔ぶれが基本的に同じなので、教育効果を考慮して、科目ごとに教授方法を変えています。
 担当科目の基礎となる学問領域はそれぞれ異なります。それらすべてを専門の研究領域としてカバーできているわけではありません。したがって、教材研究にはかなりのコストをかけています。また、他の大学の教職課程担当教員との情報交換に努めています。
 教職課程を修了し免許状を得て実際に教職に就いている卒業生を対象に毎年夏期休業中に2日間の研修会を実施しています。

○ これまでの研究の概要
 提出している著書『授業料の解像力 ― 教育における〈近代〉の分析 ―』が学位論文です。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのドイツと日本の授業料制を扱っています。制度史というよりは概念史に分類される研究です。
 その後、フランス啓蒙・革命期の広義の教育論議を対象に研究を進めました。提出している論文「デュポンにおける国民教育モデルの形成と構造」「不平等を馴らす ― コンドルセの場合 ―」 はその成果です。
 1990年代半ば、教育学の分野に転機の自覚が高まり、日本教育学会は年次大会でシンポジウム「教育学はどこへ:教育学のパラダイムの再検討」を開催しました。提出している論文「規範的教育論の岐路」はそのときの報告を中心にまとめたものです。
 わが国の変化する教育と関連する教育改革論議にも関心があります。提出している論文「教育改革と市場原理」はこの系譜に属しています。
 そのほか、教職課程に直接かかわる問題についても無関心ではおられず、「『介護等体験特例法』の問題点」「『実践的指導力』とその周辺 ― 養成課程に求められること ―」を発表しています。

○ 今後の抱負
 教育の成否は教師に尽きる、言い古された文句ですが、つくづく実感しています。その教師の育成に関与することに、一方で畏れを抱きつつ、やりがいを覚えています。また、18年の教育経験は数々の貴重な失敗と成功を含んでおり、それらを今後の貴学における教職教育に生かすことができるのではないかと考えています。
 研究活動を営むに際して、教職課程(なかでも中小私立大学のそれ)に籍を置く教員は、教員養成を専門としない教育学関連の学部・学科や教員養成系と総称される国立大学法人に所属する教員と比較して、その条件において不利であるという俗説がわれわれの世界にはあります。しかしながら、教育というフィールドに職務が食い込んでいるという意味では逆かもしれないとも思います。実際いろいろなことを学生・卒業生から学んできました。文系の大学に勤務してきたので、理系の学生はどうだろうかという期待感を抱いています。
 研究人生の残り半分で研究者としての何らかの証しを立てることができればと希望しています。具体的には、教育制度の在り方、望ましさと実現可能性の間のどこかに位置することになると想像されるその在り方を探究していくつもりです。提出している論文「分配の正義と教育について考える」「子育ての自由の平等と福利追求の自由の不平等」はその一歩です。

T-OFFICE   2006-12-15

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